株式会社セブン&アイ・ホールディングス 法務部
2024年4月入学
2026年3月に修了された唐さんにお話を伺いました。唐さんは、海外出身で来日されて日本の流通業で法務の仕事をされています。ビジネス、CBSでの学び、それから子育てと、2年間の多忙な毎日をどのように過ごされたのかをお聞きしました。
Interviewer
竹田 陽子教授
竹田
唐さんの現在のお仕事を教えてください。
唐
入社後、半年間の店舗研修を経てから加盟店会計部を経験し、法務部へ異動しました。商標や特許などの知的財産全般を取り扱っており、現在は主にプライベートブランド商品を中心とした権利取得や維持管理、リスク対応などを担当しています。
竹田
どのような経緯で、CBSを知りましたか?
唐
学生時代から、その存在は知っていました。私は中国の大学で日本語学科に在籍していて、インターンでは通訳の仕事も経験しました。せっかく身につけた日本語をもっと実務で活かしたいと思い、日本の大学院でMBAを学ぶことを考えていた時期があったんです。その流れで日本のビジネススクールを調べ、CBSにも関心を持つようになりました。
竹田
ということは、はじめから日本でMBAを学ぶつもりだったんですね。
唐
そうですね、CBSに入学を決めた大きなきっかけは、会社の社内制度として推奨されていたことでした。以前から、法務の分野が強いスクールという印象があったので、現在の仕事ともマッチすると思いました。当社の会長が中央大学出身ということも後押しになりましたね。
竹田
法務のお仕事にMBAの知識を活かしたい、と考えたんですね?
唐
はい、2015年から法務の仕事を担当してきましたが「知識がまだ足りない」と感じる場面が多くありました。知財に関する資格も独学で取得してきたものの、体系的に学べていないことに物足りなさもあって。キャリアを重ねるほど、基礎から法務を学び直したい気持ちが強くなっていったんです。
いざ、CBSに入学してみると、仕事と学びの両立は想像以上に大変でした(笑) 入学しても仕事量が変わるわけではないので、決して片手間でできるものではありませんでしたね。後輩に任せきりにするわけにもいかず、業務を調整しながら、なんとかやりくりしました。
竹田
お子さんもいらっしゃるから、家事のことも考えなくてはいけない。
唐
そうですね、生活面は家族が支えてくれました。夫も義母も「思いきり学んできて」と、家事を手伝ってくれて、本当に心強かったです。最終的にMBAを取得できましたが、これは私一人の力ではなく、家族みんなで実現したものだと感じています。
振り返ってみると、CBSに在学していた2年間は、人生で最も成長できた時期かもしれません。仕事に育児、学び……と、濃厚な2年間だったから、卒業したときは思わず泣いてしまいそうでしたね。今は“CBSロス”の真っ只中です。話していたら、ひさしぶりに同期の皆さんと会いたくなってきました。
竹田
CBSの授業を受けてみての率直な感想を教えてください。
唐
実際に学んでみて感じたのは、どの科目も想像以上に密度が高く、扱う領域の幅がとても広かったことです。法務の授業は実務と結びついている部分も多く、自分の経験と照らし合わせながら体系的に整理することができました。
一方で、これまで触れてこなかった分野もたくさんあり、新しい知識に出会うたびに刺激を受けましたね。分野ごとに難しさはありましたが、社会人になって学び直すことの面白さを強く実感しました。
竹田
印象に残っている授業はありますか?
唐
「アントレプレナーシップの実践」や「コーチング」、リーダーシップ関連の授業ですね。これらの授業を通して、仕事への向き合い方を改めて見直すことができました。
一方で、財務に関する授業はかなり苦戦しました。もともと会計の出身なので、なんとかついていけると思っていたのですが、本格的に領域に入ると一気にレベルが上がってしまって。あれだけ難しい内容にもかかわらず、先生方が短期間で丁寧に教えてくださって、本当にありがたかったです。
竹田
ほとんどの授業に組み込まれているグループワークは役立ちましたか?
唐
はい、グループワークがなかったら、途中で心が折れていたかもしれません。私はもともと一人で進めるより、みんなで協力しながら取り組むのが好きなんです。人には強みと弱みがあるものですが、グループワークではそれぞれが得意分野を活かして支え合う環境でした。休憩時間でも自然と授業の話になるので、理解がどんどん深まっていく。あの環境があったから、グループワークのメンバー全員が成長できたのだと感じています。
竹田
グループワークで意見を交わし合うと、知識が自分のなかに定着していくんですよね。唐さんは日本語が堪能ですが、コミュニケーションにご苦労はありませんでしたか?
唐
コミュニケーションの苦労はありませんでしたが、最初は日本らしい縦社会の空気を感じましたね。例えば、グループワークでも年下の人が年長者を立てたり、遠慮して意見を控えてしまったり。私自身も日本の企業でその感覚が沁みついていたことに気づかされました。けれども、交流を重ねていくうちに壁が少しずつ取り払われ、立場に関係なく意見を言い合える関係を築けました。こうした変化もCBSの醍醐味だと思います。
竹田
人はいくつになっても変われるということですね。
唐
すてきな言葉ですね。おっしゃる通り、同期のなかには、CBS在学中に家業を継ぐ決心をした人もいました。迷いながら入学した人が先生方の働きかけによって、リーダーとしての覚悟を決める。まさに、その人のターニングポイントに立ち会ったわけです。
竹田
海外でのフィールドラーニングについても教えてください。唐さんはベトナムのスタディーツアーに参加したんですよね。
唐
はい、とてもためになるツアーでした。現地企業や日系企業、大学などを訪問し、ビジネスの最前線に触れたような感覚でした。訪れたことのない国に足を運ぶと、自分の視野がいかに狭かったかに気づかされますね。現地のバイクタクシーも新鮮で、ベトナムに根づく生活のリズムや文化を肌で感じました。
竹田
教員との関係はどうでしたか?
唐
先生方は本当に尊敬する方ばかりでした。なかでも遠山先生の授業はとても楽しくて、できるだけ多く受講しました。露木先生は、先生でありながら友人のように親しみを感じられる存在です。ゼミの杉浦先生には、プロ研で厳しくご指導いただきましたが、専門性が高く、とても親切な一面もあるんです。竹田先生も、難しい問題をシンプルな用語に変えてわかりやすく説明してくださるのでフィールドラーニングも受講したかったです。そのほかの先生方も学生一人ひとりに丁寧に向き合ってくださり、先生との距離が近いことがとても印象に残っています。
竹田
教員によって、指導スタイルやコミュニケーションの取り方に個性が表れますよね。
唐
そうですね、マーケティングの中村・金先生方の授業も、もっと深掘りしたかった気持ちがあります。というのも、身内が飲食店を経営しているので、学んだことを少しでもアドバイスしたいからです。受講を諦めた授業は、聴講生制度を利用して改めて学び直すつもりなので、今からとても楽しみにしています。
竹田
唐さんがプロジェクト研究の成果としてまとめられた論文を興味深く拝読しました。
唐
ありがとうございます。論文では、日本と中国の知的財産制度についてまとめました。両国の制度を比較しながら、実務においてどのように模倣品を防止していくのかを分析しています。現場の声を把握するため、模倣被害に遭った企業へのヒアリングも実施しました。中国の事例も取り上げた点は、私ならではのアプローチだったと思います。同期の皆さんの意見を随所に取り入れたことで、より内容をブラッシュアップすることができました。
竹田
CBSで学んだことが仕事に活かされていますか?
唐
はい、非常に役立っています。とくに大きかったのは、これまで無意識に行っていた業務について「なぜこの対応をするのか」「その目的は何か」を意識しながら取り組むようになったこと。また、法務や知財の視点だけでなく、経営やブランド価値、事業戦略とのつながりも意識するようになりました。今では業務をより広い視野で捉えられるようになったと感じています。
竹田
チェンジ・リーダーとしての心構えは充分ですね。
唐
まだ完成されたチェンジ・リーダーではありませんが、意欲はあります(笑) 現状維持にとどまるのではなく、周囲を巻き込みながら現場を変えていきたいです。もちろん、すぐに環境を変えられるわけではないし、ときには反発が生まれることもあるでしょう。そうした場面では、CBSで学んだチームビルディングの基本に立ち返って、仲間とともに一歩ずつ前進していきたいです。
竹田
最後にこれからの展望や夢を教えてください。
唐
今後は、もっと海外の仕事に関わって、日本のコンビニの魅力やすばらしさを発信していきたいと思っています。活動の幅が広がると視野も広がりますし、自分の専門性もさらに磨けるはずです。それから、CBSで学んだ経営の視点やブランド戦略、法務・知財の知識も、実務のなかでどんどん活かしていきたいですね。将来的には、意思決定にも関わる立場になって、会社の成長に貢献できたらいいなと考えています。
竹田
ありがとうございました。