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student

エスコンフィールド
HOKKAIDOから
新たな価値を
生み出したい

cross

CBS

前沢 賢さん

株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
代表取締役社長 2011年9月入学

Point

2014年3月にCBSを修了された前沢賢さんにお話を伺いました。株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント代表取締役社長として、エスコンフィールドHOKKAIDOを指揮する前沢さん。現場での経験とCBSでの理論的な学びが結びつき、「点が線になった」と語ります。地域への価値還元や次世代支援に挑む姿から、チェンジ・リーダーとしての思考と熱意に迫ります。

teacher

Interviewer

露木 恵美子教授

多様な授業を通して、現場経験と経営理論が結びつく

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露木

CBSに入学した経緯を教えてください。

前沢

もともと、社会に出たあとに大学院でもう一度しっかり学び直したいと思っていたんです。そこでいろいろ調べていく中で、CBSの存在を知りました。惹かれたのは、土日でも通える点ですね。仕事がかなり立て込んでいる時期でもあったのですが、CBSなら集中して受講できると思いました。

露木

当時のCBSはどのような雰囲気でしたか?

前沢

これまでの経験では、高校や大学のように、どこか受け身な印象を受けることが多かったんです。しかし、ビジネススクールは全く違いましたし、CBSの在学生はみな、授業に積極的に参加することが当たり前だったんです。ああいう環境で学ぶのは初めてだったので、すごく刺激を受けました。お互いを一人の社会人として尊重し合い、敬意を持って関わる。そういう空気が自然にできていたのを覚えています。

露木

実際に授業を受けてみて、いかがでしたか?

前沢

印象深かったのは、自分がこれまで実践してきたことと、経営学の理論が次々につながっていったこと。CBSに通えば通うほど、頭の中に散らばっていた「点」が整理されて「線」になっていったんです。現場では経験や感覚を頼りに判断することも多かったのですが「自分がやってきたことは理論的にも間違っていなかったんだ」と、確認できたことは大きな収穫でした。

露木

そのようにおっしゃる修了生は多いですね。

前沢

ダイナミック・ケイパビリティのような、一見すると難解な概念でも、実務経験と重ね合わせることで自然に理解できました。そこを突き詰めていくと、理論の奥にある哲学的な領域まで踏み込むことになるんですよね。ビジネスと哲学はまったく別物だと思っていましたが、最後に行きつくのは人の考え方や価値観といった哲学に触れる部分なのかもしれません。その意味では、思考の深さが求められますし、とても有意義な学びでした。

露木

プロジェクト研究はどのようなテーマを設定したのでしょうか。

前沢

日本のプロ野球とアマチュア野球を融合させて、ビジネスとしてどう発展させていくべきか?といった研究をしました。日本の野球界には、JリーグやBリーグのようなプロとアマチュアが一体となった組織構造がありません。こうした特異性がどのような背景から生まれ、なぜ現在の形で定着したのか。そこを調べなおしてどうすれば価値の質と量を増加できるのかを追求していきました。

しつこいくらいがちょうどいい チェンジ・リーダーの思考法

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露木

CBSの学びはお仕事にも活かされていますか?

前沢

はい、スポーツビジネスは特殊な業界という印象を持たれがちですが、一般的なビジネスと本質的な違いはないと思っています。まだ歴史の浅い分野なので、経営学のフレームワークや経営理論などを応用する余地は大きい。一方で、業界の中には一般的なビジネスの考え方と距離を置いてしまう人も少なくありません。けれども、その考え方が事業の成長を妨げている面もある。そういう人ほどビジネススクールに通って、MBAの観点を知る必要があるのではないでしょうか。

露木

CBSはチェンジ・リーダーの育成をミッションにしています。前沢さんのご経歴を拝見すると、まさにその体現者だと感じます。

前沢

ありがとうございます。自分がチェンジ・リーダーと呼べるかどうかはわかりませんが、以前、専門家の方から「エスコンフィールドは論理的な視点に基づいて運営されている」と評価いただいたことがありました。実際その通りで、私たちはビジネスの根底にある原理原則を含め論理性を非常に重視しています。

露木

パッションだけではドラスティックな変化は起こせない、ということでしょうか。

前沢

勢いだけでは表面的な部分にしか影響を与えられないですよね。じわじわと根っこから変えていくことが、チェンジ・リーダーの役割です。言葉を選ばずに言えば、少し面倒くさい性格の人ほど、チェンジ・リーダーとしての適性があるのではないでしょうか(笑) 私自身、意思決定の場面では何度も自分自身に「なぜ?」を繰り返しますし、その過程が理論をより強固なものにしてくれると信じています。部下の提案に対してもしつこく問いを重ねますし、深い思考があるかないかを問うので、多分煙たがられていると思います。

露木

思考を深めることが重要になるんですね。

前沢

本来の賢さとは、思考の深さにあると考えています。もちろん、知識の量や頭の回転の速さも大切ですが、それだけではそのビジネスの本質にはなかなかたどり着けません。思考を深めることで、目の前の事象だけでなく、その背景や将来起こり得る変化まで想像できるようになる。つまり、「思考の深さ」「創造の広がり」は比例していると思っています。 例えば、球場内の装飾やショップなどを設計する場合、単に置けば良いではなく、“消費の動線”を意識し、仮説を立てることが重要です。

露木

“消費の動線”の具体例を教えてください。

前沢

エスコンフィールド内には随所にウォールアートが描かれています。選手たちを力強い筆致で表現したもので、球場内でもひときわ目を引く存在です。シンボリックなアートがあると、来場者はその前で写真を撮りたくなるものですよね。自然とファン同士の会話が生まれ、そこからチームや球場に対するエンゲージメントの向上につながります。さらに、その写真がSNSに投稿されれば、球場を訪れていない人にも情報が届き、新たなファン獲得も期待できます。

子どもたちの可能性を広げ 次の世代にバトンを託す

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露木

現在どのような思いで球場を運営していますか?

前沢

北海道の皆さまに育てていただいているという思いが強くあります。その恩返しとして、球場を通じて地域に価値を還元し続けたいと考えています。また、子どもたちの可能性を広げることも大切なテーマになっています。学びや遊び、成長のきっかけを提供する取り組みには、今後も力を入れていきたいですね。その一環として、小学生以下の入場を無料にしているほか、子どもたちが安心して遊べるエリアを球場の内外に整備しています。

露木

これからの展望や夢を教えてください。

前沢

日本のプロ野球は90年ほどの歴史がありますが、私はそのごく一部の期間だけバトンを預かっているにすぎません。このバトンを次の世代へ確実に渡すことが、私に与えられた使命だと考えています。そのためには、私の代で成長の基盤をしっかりと築いておかなくてはなりません。野球に例えるなら、中継ぎ投手のような存在だと言えるでしょう。

露木

その構想はどの程度のタイムスパンで考えていますか?

前沢

まずは5年くらいのスパンで考えています。役員ともよく話すのですが、今はもう自分の都合だけで物事を決められる立場ではありません。だからこそ、一つひとつの判断には大きな責任が伴います。個人的な思いを実現するというよりも、球場を通じて地域やファンの皆さまにより良い価値を届けていきたいと思っています。

露木

最後にCBSの在学生にメッセージをお願いします。

前沢

振り返ってみると、本当に貴重な2年間だったと思います。仕事と学びの両立は大変でしたし「もう一度やれ」と言われたら少し悩んでしまいます(笑) それだけ厳しく、密度の濃い環境だったから、自分の価値観や思考力が磨かれたのだと思います。 在学生の皆さんは、せっかくCBSで学ぶ機会を得たのですから、全力で楽しみながら自分自身と向き合ってください。その経験は、きっと将来の大きな財産になるはずです。

露木

ありがとうございました。

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