株式会社セールスフォース・ジャパン マーケティング統括本部
デマンドジェネレーション キャンペーン ディレクター
マーケティング分野でキャリアを積んできた秋津さんは、チームのマネジャーとなり、多様なメンバーを統括する中で、それまでの自分のマネジメントスタイルに限界を感じ始めたと言います。多様な人材が集まるCBSで、どのような気付きや学びを得たのでしょうか。
Interviewer
島貫 智行教授
島貫
今の会社に勤務されてどれくらいですか?
秋津
2015年4月に入社して10年たちました。最初の1年は、見込みのお客様に対して電話やメールをベースに営業活動を行うインサイドセールスとして、1日40件程アプローチをかけていました。入社2年目からは製品マーケティングにキャリアを転換し、現在は中小企業向けにIT化やデジタル化を進めるためのマーケティング業務に携わっています。
島貫
ビジネススクールに入ろうと思ったきっかけは?
秋津
チームのマネジャーになって5年目になりますが、2年くらい経った時に自分の努力で高められる能力だけでは限界を感じたことがきっかけでした。自分自身が頑張れば自分の成果は最大化できますが、人材が多様化している今、メンバー一人ひとりのポテンシャルを活かしチームの成果を高める能力に欠けているなと。今後のキャリアアップや、マネジャーとしての引き出しを増やすために、MBAという選択肢を考え始めました。
島貫
いろんな学校がある中で、CBSを選んだ理由は何だったんですか。
秋津
仕事上、平日の通学はかなり厳しいと考えていましたので、オンラインで時間を有効に活用できることと、学生の年齢層が比較的高く、落ち着いて学べる環境であることが決め手でした。
島貫
CBSの授業はオンラインとリアルのハイブリッドが特徴なので、リモートワークや出張中でも受講できますからね。
秋津
私の場合は当時、ほとんどリモート勤務で家にいる時間が多かったので、わざわざ学校のために外出したくないというのはありましたね。ただ、私は仕事をしながら通信制大学を卒業していたので、学生同士のつながりや縁があまりなかったんです。それもありMBAではリアルなつながりの構築は欠かせないと思っていたので、平日はオンラインで授業に参加でき、週末は対面授業で周囲との交流も深められるCBSはうってつけでした。
島貫
CBSは実際に落ち着いて学べる雰囲気でしたか。
秋津
そうですね。学生の年齢の幅は広く、特に社会人経験が15年から20年ぐらいの人が多いと感じました。そのくらいのキャリアだと管理職としてマネジメントを経験していたり、これから役職に付いていく頃なので、皆さんいろいろな視点や視座を持ってらっしゃる方ばかりでしたね。年代や入学時期を問わず、タテ・ヨコ・ナナメの交流が図れた点も非常によかったです。また、ビジネス上の利害関係がないので、フラットに会話ができ、アドバイスをもらえたことも大きな財産となりました。私は全体の中で比較的若い方でしたが、人生経験が豊富な先輩方とのディスカッションを通じて、刺激を与え合う関係を築くことができました。
島貫
CBSに通うことは、家族や職場の⽅に相談しました?
秋津
入学が決まってから伝えましたが、家族や職場の方ともに賛成してくれました。職場の人には「ハードに働いて、MBAまで取り組んで、一体何を目指しているの?」とよく聞かれましたが、「プロサラリーマンかなぁ」と答えていました!
島貫
プロサラリーマン! この言葉は、どういうイメージで使っているのですか?
秋津
私は割と効率主義で、タスクやプロジェクトにはスピード感を持って取り組み、できるだけ早く成果を出すことを重視してきました。結果的に有難く成果は上がりましたが、それは偉くなりたい、給料を上げたいというモチベーションではなかったことに気付いて。それでプロサラリーマンとか、ビジネスアスリートという言葉を使っていました。 ただ、それは自分一人の時はうまく行っていたのですが、チームのマネジャーとして仕事をする時はメンバーをエンカレッジして、チームを動かさなければいけない。そこが私自身の課題でした。プロサラリーマンとして自分も頑張るけれど、チームのメンバーの気持ちや行動を動かし、一緒に成長し続けるようなマネジャーになりたい、という気持ちが生まれました。
島貫
マネジメントのスタイルを変えたんですね。
秋津
自分が前に出ることは必ずしもメンバーにとってプラスではないんですよね。短距離なら自分が走ればいいですが、長距離を走る時はチーム全員が輝ける仕組みを作らなきゃいけないなと。メインステージに立ってゴールを決めるのはメンバーで、彼らのパフォーマンスが向上するようにサポートするのが自分の役目だと考えを切り替えました。メンバーにとってもプランを作る難しさや、自分でゴールを決める楽しさを経験して成長する姿をみることで、私自身少しずつ変わってきたかなと実感しています。
島貫
何かCBSの学びの中で気付きがあったのですか?
秋津
管理職としての部下マネジメントについての授業は、体系的に捉える意味では自分にとって価値があったなと思っています。上司の役割は部下にしっかりと権限委譲することで、部下が最適な状態でパフォーマンスを上げれば、それがチームのパフォーマンスの最大化につながる。授業の履修前もなんとなく理解はしていましたが、体系的に落とし込めた授業だったので、とても印象に残っています。
島貫
秋津さんはCBSでマーケティングに加えて、チームマネジメントも重点分野にしたのですね。
秋津
マーケティングは自分の専門なので、得意なことをさらに輝かせることと、興味がある部下マネジメントの学びに積極的に取り組めたことに満足しています。
島貫
印象に残っている講義はありますか。
秋津
プロジェクト研究です。人的資源管理分野のプロ研に入るとは想像してなかったんですが、マネジャーとして部下との関係性やチームをリードするためにどんな能力が必要か考えたいと思い、高村先生にお世話になることにしました。 私は課題やタスクを最短でこなしたいタイプなので、プロ研の仲間のアイデアを聞きながらディスカッションしたり、真剣に意見を言い合うことがとても良い経験になりました。「マーケターのキャリア形成」が私の研究テーマだったのですが、研究を進める過程で寄り道したり、ときに脱線したりしながらお互いの研究テーマから学び合うことで、自分の視点を変えたり視座を高めたりすることができたと思います。自分が何を極めていきたいか、何と向き合っていきたいかを考える良いきっかけになりました。
島貫
それは他の授業のディスカッションと違う?
秋津
違うと思います。通常の授業でのディスカッションとのいちばんの違いは、プロ研は誰も答えを持っていないんですよね。答えのないものに対して、いろいろな道を通りながら、みんなが誠実に向き合って考えたり発言したりするというのはなかなかできない体験でした。プロ研でいろいろと考えていくうちに、キャリアチャレンジしようと決め、在学中に社内で異動することに決めました。
島貫
それは大きな変化ですね! CBSの学生はどんな印象でした?
秋津
CBSの学生は目標に対して真摯に取り組まれる、真面目で誠実な方が多いですね。心がきれいな方がこんなにいるんだと心の温もりを感じました。私は外資系に勤めていることもあり、成果をいかにして高めるか、どうしたら効率的に進められるかをすぐ考えてしまうのですが、私がふだん見ている景色や経験してきた当たり前とはまったく違った世界をCBSで経験できました。義理人情というと古いかもしれませんが、人とのつながりを大切にし、自分に向き合いながら社会課題にも取り組むような方々と出会えたことは、私にとって大きな財産になりました。
島貫
最後に、これからの展望や夢などお聞かせください。
秋津
引き続きマーケティングスキルを磨きながら、マネジャーとしてのスキルも高めたいです。メンバーが輝けるチーム作りをすると同時に、ハードワークも成長機会として楽しめるようにコーチングしていきたいですね。ビジネスアスリートの気分で日々仕事に向き合っているので、「成果を上げる」「効率を上げる」「今できていない何かを導き出す」を、マネジャーとして取り組みたいと考えています。自分の軸を持ちながら、マーケターとマネジャーの両輪でしっかりやっていきたいと思います。
島貫
ありがとうございました。