株式会社浜友A.L.
人事総務部 係長
長年、人事分野でキャリアを積んできた宮脇さん。任される仕事の質が高くなっていく中で、さらに成果を上げるためビジネススクールの門を叩いたといいます。CBSで何を学び、その学びを今どのように活かしているのでしょうか。
Interviewer
竹田 陽子教授
竹田
はじめに、ビジネススクールに入学しようと思ったきっかけを教えてください。
宮脇
2017年に今の役職に就いたのですが、任される仕事の質が高くなっていく中で、周囲からの期待に応えられていないと感じ、理由がわからずもやもやする日々が何年か続いていました。コロナ禍になってリモートワークが増え、時間もあったので、人事領域についてきちんと学び直そうと一念発起したのがきっかけです。そこから人事交流会やLINEのオープンチャットなどで情報収集して、当初は他の大学院に新設された人材開発の分野に特化したビジネス・スクールを検討していました。
竹田
検討されていた大学ではなく、CBSを選んだ決め手は何でしたか。
宮脇
何校かオンライン説明会に参加したのですが、学生や先生の雰囲気がいちばん自分にマッチしていると感じたのがCBSでした。先生が気さくな方ばかりで、学生から意見を引き出そうと働きかけてくださり、安心して学べそうだなという雰囲気がオンラインでも伝わってきました。また在校生も参加されていたのですが、相手の課題を聞いてくれる先輩たちの様子も他校とかなり違いを感じましたね。
竹田
実際に入学して、その雰囲気は同じでしたか。
宮脇
はい、そのままでした。
竹田
お金や時間、授業形式などの面ではどうでした?
宮脇
職場が銀座なのでアクセスが良いこと、あとは平日のオンライン講義があることが魅力でした。実際、入学してみたら対面授業の方が楽しかったですね。特にグループワークの際、オンラインだと発言が被ったり、発言を遠慮したりしてしまうこともありますが、対面ならお互いの息づかいを感じながらやりとりできますし、ちょっとしたことでも気軽に発言できるところがよかったです。
竹田
対面の良さってありますよね。職場の方はビジネススクールに入学することに対してどんな反応でしたか。
宮脇
周りにMBAを取っている人がいなかったので、最初はあまり言ってなかったんです。さすがに入学前に上司に報告したところ、転職か退職するのでは?と思われたらしく、「仕事は大丈夫か?困ったことはあるのか?」とかなり声をかけられました。
竹田
警戒されてますね! なんと伝えたんですか?
宮脇
あまりにも心配している様子だったので、「退職や転職を考えているわけでははく、今任されている仕事の質を上げたい、期待に応えたいという気持ちがあり、ビジネススクールで学び直したい」ときちんと伝えました。
竹田
実際に入学して気付いたこと、想像と違っていたことなどはありましたか。
宮脇
私は新卒で入社してからずっと今の会社にいるので、他の会社の方から自分について率直なフィードバックをもらうという機会はこれまでありませんでした。グループワークでのフィードバックや、授業が終わった後の食事会などで「みやちゃんって人前で話すの上手いよね」とか「こういうことによく気付いたよね」と言ってもらうことで、自分の強みや弱点を客観的に知ることができたのがよかったです。
竹田
それは同じ会社にずっといると難しい?
宮脇
難しいと思います。仕事柄、人前でプレゼンすることが多いのですが、それについて評価されたりフィードバックを受けたりすることもほぼなくて。CBSでは、自分よりずっと経験豊富な方からいろんなフィードバックをいただけたことが自信につながりました。逆に自分の弱点に気付くこともあり、実践を通して改善できたことも大きかったです。
竹田
講義の中で、特に印象に残っている授業はありますか。
宮脇
リーダーシップコアやチームビルディングなど、グループワークの多い授業です。理論を学んだあとに、すぐ実践できるグループワークがセットになっているところがおもしろかったですね。リーダーシップコアは、先生の講義がとても軽快で学生を飽きさせない授業でしたし、グループワークで他社の事例をたくさん聞くことができて大変興味深かったです。
竹田
CBSはグループワークを繰り返しやりますよね。 グループワークの中で、何か気づきはありましたか。
宮脇
同じ講義を聴いても、私の視点と他の学生たちからの視点が違うことがあり、仕事や職種によって受け止め方がまったく変わるという発見がありました。
竹田
その中で仲間との関係性も築けたと思うのですが。
宮脇
はい。ささいな悩みごとを相談したり、お互いに高め合える、信頼できる仲間が増えました。普段、職場では誰かに質問したり意見を言ったりすることにあまり躊躇することはなかったのですが、入学当初は周りが優秀な方たちばかりで気後れしてしまい、なかなか発言することができませんでした。しかし、学生の意見や質問をきちんと受け止めてくださる先生方の姿勢や、周囲の学生からのサポートもあり、徐々に本音で話ができるようになりました。CBSに入学して初めて、心理的安全性が保たれた環境というものがどれだけ重要か気づきました。想像していた以上に、私にとって学びやすい環境でした。
竹田
それはとても大切なことだと思います。人事領域に関しての授業はどうでしたか。
宮脇
人材開発や雇用管理の授業では、まず個人ワークで自分や会社の現状、大切にする理念や価値などを振り返り、それから授業で可能な範囲で共有をしました。公開情報の先にある他社の大切にする価値などを知ることができました。自社とはまったく違っていたり、共感するものであったり、逆に新しい発想だったり。自社の人事部の中にいるだけでは知ることができない周囲への深い理解が進み、とても貴重な体験でしたね。すぐに自社で取り入れようと日々上司に提案していたら、ちょっと煙たがられましたけど(笑)。
竹田
ここで学んだことって、すぐに会社で使いたくなりますよね。そうした学びを通して、もやもやは解消しました?
宮脇
これまでは上司に言われた施策に対して、言われた通りに取り組むことしかできず、その結果、成果がなかなか上がらないのが悩みでした。しかし、例えばメンター制度の導入や評価制度の見直しなどを指示された際に、そもそもこの課題を解決するためにベストな施策はメンター制度ではなく別のものかもしれないと考えたり、別の施策を提案したりすることができるようになりました。また代替案を検討する上で、CBSの授業で学んだ基本的な概念や他社事例などがとても役立っています。
竹田
人事っていろんな手法が出てきますよね。でも「そもそもを考える」ということができるようになったと。
宮脇
そうですね。そこがCBSのおかげだなと感じています。MBAを学んだことで問題解決の引き出しが増え、仕事を楽しみながら問題に向き合うことができるようになりました。そうした自分の変化を今とても実感しています。
竹田
これからの目標などがあればお聞かせください。
宮脇
私の場合、社内でのキャリアアップといった具体的な目標があったわけではないので、今は目の前にある課題を、楽しみながら解決していきたいです。当社の人事部門の大きな課題は、労務管理や就業規則改定など管理系の仕事に特化したメンバーは充実しているけれど、組織全体を俯瞰し、会社の価値を高めるためにどんな制度が必要か、どのように評価を変えていかなければならないかを企画するメンバーが不足していることです。そういう部分を企画できる人材に私自身がなっていきたいですね。
竹田
すばらしいですね。CBSでの学びは活かせそうですか?
宮脇
はい。これまでは上司に言われたことに盲目的になっていて、制度設計に対して疑問に感じることはありませんでした。CBSで基礎をきちんと学んだことや、他社の情報が入ってきたことで、いい意味で現状に疑問を持てるようになりました。
竹田
最後にCBSを目指す人にメッセージをお願いします。
宮脇
偏見かもしれませんが、ビジネススクールは競争心むき出しの学生や、いわゆる大手企業に勤めている選ばれたエリートが集まっているという先入観があったんです。でも通ってみると、役職がない方もいるし、若い人から経験豊富なベテランまでいて、そこがCBSのいちばんの魅力だと思います。もし自分自身の課題を解決したいと思ったら、そういった先入観を取っ払ってぜひCBSに来て欲しいですね。
竹田
学内にいるとわからないけど、ビジネススクールってエリートばかりが集まっているイメージがあるんですか?
宮脇
ぎらついた学生ばかりで、先生にも変な質問したら怒られると勝手に思い込んでました(笑)。入学前はビジネススクールなんて自分には無縁だと思って調べたこともなかったけれど、チャレンジしてよかったと今は思っています。学び直してみて、必要な知識が圧倒的に身についてなかったこと、問題解決ができていなかったことを痛感しました。それに気づけたことで仕事に対する姿勢が変わり、今はワクワクしながら仕事をしています。
竹田
いいお話をありがとうございました。これからも頑張ってください!。