株式会社インストラクション
営業部 営業推進課 課長
自社商材を扱ってもらうパートナー企業とのより良い連携のために、マーケティングと組織論を学ぶ。 その根底にある課題感や葛藤、そしてこれからのビジョンなどを伺いました。
Interviewer
竹田 陽子教授
竹田
阿部さんは理系の学部出身ですよね。マーケティングを学ぼうと思ったのはなぜ?
阿部
私がいる営業部門では、クラウドの商材を代理店で販売するという戦略をとっているため、直接営業するというよりパートナー企業の人をどう動かすかが仕事です。代理店さんはいろいろな商品を扱っているので、優位性がないと自社の商品を選んでもらえない。数字を上げていくためには自分一人の力では限界があると感じていたこともあり、マーケティングを学んで知識をしっかりインプットしたいと考えました。
竹田
ビジネススクールへの入学を考えたのには、 何かきっかけがあったんですか。
阿部
今はセイコーグループですが、当社はもともとオーナー社長の企業だったんです。当時の社長と面談した時、今後のキャリア設計の1つとして中小企業診断士の資格取得を目指そうと考えていると話したところ、「阿部君はMBAって知ってる? いろんな仲間も増えるし、そっちの方が向いてるかもしれないよ」と助言されて。実はMBAという言葉もその時に初めて聞き、そこから調べていく中でCBSを知りました。
竹田
そこからMBAを目指そうと。 他校も検討されたと思いますが、CBSに決めた理由は?
阿部
土日の対面授業が充実していることですね。仕事がどれくらい忙しくなるかわからなかったので、働きながら通えるか不安もあったのですが、それなら通い続けられるなと入学を決めました。
竹田
講義形式だけでなく、内容的な部分で何か決め手はありましたか。
阿部
興味があったのはフィールドラーニングですね。直接、企業の社長さんが出てきてくださることが多いということ、学んだことを実際の企業でアウトプットできるということに魅力を感じていまして、2年次に受けようと決めていました。
竹田
フィールドラーニングについては後ほど伺いたいですね。ビジネススクールに通うと聞いて、周囲はどんな反応でしたか。
阿部
前社長は背中を押してくれまして、私をモデルケースに企業推薦のような形にしていくことも考えているとおっしゃっていました。結局、在学中に会社がM&Aになってしまったので叶いませんでしたが。
竹田
それは残念! 実際に入学して、大学時代とビジネススクールの違いなどは感じましたか。
阿部
実は大学では脳神経細胞を専攻して、アルツハイマーの予防について学んでいました。それは学問として興味があったけれど、当時はそれを学んで何かをしたいというビジョンまではありませんでした。実際に脳神経関連の職業には就いてませんしね。CBSでは、今現在たずさわっている仕事の課題を解決したいという明確なビジョンを持っている人が集まっているので、そこが大きな違いですね。
竹田
大学と違って学生の年齢差もありますよね。若い方だと、最初は気後れしたとおっしゃる方もいますが、その点はいかがでしたか。
阿部
そうですね、CBSは平均年齢42歳と比較的高く、私は同期で最年少なので最初は年齢の差を感じました。でも、年齢は関係ないよといってくださる方が多くて、気後れすることはなかったです。
竹田
むしろすぐに馴染めました?
阿部
はい。トップマネジメントや様々な役職を持つ方たちと学ぶことはとても刺激的で、そういう意味でも期待通りでした。
竹田
先ほどフィールドラーニングに興味を持ってCBSに入られたということでしたが、実際やってみてどうでしたか。
阿部
すごくよかったです。1年次で組織やマーケティングなど様々な知識をインプットしてから、実際の現場に出向き、いろいろな立場の方の声を聞きながら経営戦略を提案するということは今までの人生にない体験でした。
竹田
グループの中に対象企業(カスミ)の社員さんも入っていたと思いますが、そのメリットはありましたか。
阿部
そうですね、実際の社員の方の生の声を聞けたことがとてもよかったです。皆さん会社の理念は理解しているけれど、どうしても現場では実務的な課題がある。今回の提案はそうした現場の声を届ける機会にもなったのではないでしょうか。
竹田
普段は、なかなか現場の声を上に届けるのは難しいですからね。
阿部
授業ではどうしても戦略先行の思考になりがちですが、働く人たちの実情を理解し、戦略と照らし合わせていくことの重要性を痛感しました。また、IT業界としての視点からお話すると、逆に興味を持っていただけることもありました。私たちにとっては実践の場として、カスミさん的には異業種の知見を得る場として、お互い良い機会になったのではと思っています。
竹田
双方向でいい刺激になったということですね。そのあと2年次に組織論を中心に学ばれましたが、組織に興味を持ったのは何か理由があったんですか。
阿部
戦略やマーケティングの手法は理解したのですが、実際に社内やパートナー企業に対してそれらを実践する時に、戦略と組織の形態がリンクしていないと人は動かないとすごく感じたんですね。同期で社長や営業本部長をされている方からも、やはり戦略と組織は両翼で身につけないといけないと教えていただいて「戦略と組織」を学びました。
竹田
なるほど。学んでみて気づきや変化はありました?
阿部
戦略と組織がリンクしていると上手くいくというモデルケースを理解できました。市場があり、その市場変化に適応するための戦略変化があり、戦略をまわすために組織変化があるということがいちばんの気づきでしたね。業務でも、市場において今どういう変化が起きているか、どういう戦略が適合するか、それを誰が動かすか、という3つのつながりを常に意識するようになりました。
竹田
他に印象に残っている授業はありますか。
阿部
自己と対話する「リーダーシップコア」が印象的でしたね。あそこまで自分をさらけ出して深掘りする授業があるんだ、と。
竹田
リーダーシップコアはCBSでのコミュニティづくりに役立ちました?
阿部
役立っていると思います。ほぼ全員とグループワークができたので、どういう人がいるのか、どういう考えを持っているのかを知ることができました。授業後は同期のほぼ全員と仲良くなって、情報交換がより活発になりました。
竹田
最初に通えるか不安だったとおっしゃってましたが、2年間終えられてどうでした?
阿部
実際入ってみて辛いと思うことはありませんでした。時間的には厳しかったですけどね(笑)。CBSは会社の枠を超えて、様々なことをイーブンな立場でディスカッションできる場。仕事の悩みをCBSの仲間に相談して、ああそういう考え方もあるんだ、もうちょっと頑張ってみよう、と勇気づけられて月曜日を迎えられることもありました。
竹田
同じビジネス課題でも、社内で話すのとCBSの仲間と話すのとではやはり違いますか。
阿部
違いますね。例えば、社内では部下に伝えるのと上司に伝えるのとでは誤解を招かないようにある程度言葉を選んでしまいますが、CBSでは遠慮せずありのままを伝えられます。これだけ違う世界の人と関われたことで、視野が広がり、変な言い方ですが生きやすくなったと感じています。自分は最年少で誰よりもエネルギッシュだと思っていましたけど、自分より年配の人たちのエネルギーが半端じゃなくて、負けてられないな!と思いました。それがすごく刺激になり、だからこそ土日がリフレッシュになったのだと思います。
竹田
最後に阿部さんのこれからの夢をお聞かせください。
阿部
夢というと壮大ですが・・・マーケティングと組織開発が共生するような仕組みをつくりたいです。
竹田
それはすばらしいですね。例えば、マーケティングと組織開発をどう連動したらいいと思われますか。
阿部
マーケティングありきでなく、組織の状態を知り、その組織が持っている資源や仕組みを踏まえた上でマーケティングをする、というフローなのかなと思っています。マーケティングを実行するうえでの組織へ影響はどうか、組織開発が必要である場合にはどこを変えなければならないのかということを含めて考えていかなければならないと思っています。
竹田
組織のことも考えて、その上で提案するという、一種のコンサルティングを一緒にやっていくということでしょうか。
阿部
そうですね。やはり、自身の提案を受けてよかったと思ってもらいたいですし、それによって対象企業の戦略や組織がしっかりまわるようになってほしいので、マーケティングの提案に留まらず、戦略を実行するための組織になっているかというところにも目を向けたい。理想としては、それを含めた提案ができる人になりたいと考えています。
竹田
ぜひ実現できるよう頑張ってください。本日はありがとうございました。